目指せサイフォンマスター!突沸を防ぐボールチェーンフックの取り付け方をプロが解説
2018/12/07
サイフォンマスターへの第一歩!使用する器具を知ろう!
今回はサイフォンでコーヒーを抽出する際に使用する器具や、使用する際の注意点等を解説していきます。
まずは器具の種類と名前を知らないと始まりませんね!
『サイフォン』は大きく分けて2つの器具から成り立っています。
1つは『フラスコ』、もう1つは『ロート』です。
『フラスコ』の方は名前の通り、ガラスで出来ている球状の『フラスコ』というパーツとコーヒー抽出時に手で触れる『アーム』というパーツで出来ています。
『フラスコ』の上部は直径3cm程の穴が空いているので、この部分から熱湯を入れたり、『ロート』を差し込んで使用するわけです。
次に『ロート』についてですが、こちらもガラス製の器具で『フラスコ』に挿入する管の部分とコーヒー豆と熱湯が触れてコーヒー成分を抽出する部分で出来ています。
加えて『フィルター』というパーツを『ロート』に設置してコーヒーを抽出します。
『フィルター』は『ろ過布』、『フィルター(ろ過器)』、『フック』、『スプリング』、『ボールチェーン』というパーツで出来ています。
『フィルター(ろ過器)』は金属製で、これに『ろ過布』を巻き付けて使用します。
『フック』と『スプリング』は『フィルター』を『ロート』に設置するためのパーツで、『フック』を『ロート』の管の先端部分に引っ掛けることで『ロート』に『フィルター』を固定します。
いきなり色々なパーツの名称と使用方法をお伝えしましたが、ついてきていますか?笑
『サイフォン』は見た目の通り、様々なパーツで構成されていることがおわかり頂けたと思います。
どれか1つ欠けてもコーヒーの抽出は出来なくなってしまうので、大変だと思いますがしっかり覚えて下さいね。
「ちょっと待って下さい!
『ボールチェーン』の説明をまだしてもらっていません!」
そうでした!
それでは最後のパーツ『ボールチェーン』について解説しますね!
そもそもボールチェーンは何のために付けるの?
サイフォンで使用する『フィルター』の先端に『ボールチェーン』が付いていますがコーヒーを抽出する時には役割を果たさないんです。
それでは何のために付いているのでしょう?
「うーん、、、キーホルダーとかに付いているボールチェーンのように輪っかにもなっていないし、、飾りですか?」
そう思われるかもしれません。
違います。笑
この『ボールチェーン』は『沸騰石』の役割を果たしているんです。
「『沸騰石?』小学校の理科の実験で使ったやつ?」
そう!その『沸騰石』です!
どうして『沸騰石』なんかがくっついているのでしょうか?
『サイフォン』でコーヒーを抽出する際、『フラスコ』にお湯を入れて『ロート』を差し込み加熱していくのですが、『フラスコ』内のお湯が沸騰するまで『ロート』は全部差し込まず、半入れ状態で加熱するんです。
で、普通お湯が沸騰したらボコッ!ボコッ!と泡が出てくるはずなんですが、サイフォンの『フラスコ』の中ってかなり特殊な状態で、お湯が沸騰しないまま沸点に達してしまうことがあるんです。
そして、沸点に達しているのに気づかず軽くショックを与えたりすると、『フラスコ』内の熱湯が一気に沸騰して『突沸』が起きてしまうんですね。
『突沸』って簡単に説明すると、ちょっとした『爆発』です。汗
ですので、『沸騰石』の役割をする『ボールチェーン』を『フラスコ』内のお湯に触れさせて、常にポコポコ泡が出るように状態を安定させているんです。
これで一安心なのですが、ちょっと待った!
サイフォン初心者の方に多いのですが、ボールチェーンが付いているフックを正しく取り付けないと、サイフォン器具を扱っている最中にフックが外れて、これまた『突沸』が起きてしまいます!
熱湯の突沸を防ぐためのボールチェーンフックの取り付け方とは?
それでは、正しいボールチェーンとフックの取り付け方を解説していきます。
まず、『ロート』に『フィルター』を設置しましょう。
『ロート』の管の部分に『スプリング』、『フック』、『ボールチェーン』が来るように『フィルター』を入れます。
管の先端から『ボールチェーン』が出てくるので、これを引っ張って管の先端に『フック』を引っ掛けて完成です。
「なんだ簡単じゃん!」
そう。簡単なのですが、本当にきちんと取り付けられていますか?
作業に慣れてきた初心者さんに多いケースなのですが、急いで『ロート』に『フィルター』を取り付けると、管の先端に引っ掛かっていたのは『フック』ではなく、実は『ボールチェーン』の一部だったということがあります。
コレこのまま放置するとどうなるか?
コーヒーの注文が入って、サイフォンの器具を取り扱う際に、何かの拍子にこの『ボールチェーン』が外れます。
すると、高温・高圧のフラスコ内にショックが与えられ、『フラスコ』上部からお湯が勢いよく爆発するかのように飛び出します。
これが『突沸』です。
ある日、私がお店でいつも通り作業をしていると、サイフォンテーブルの方から「キャーッ!」という悲鳴が上がりました。
「どうしたんだ?!」と慌てて現場に向かうと、『突沸事故』が起きた後でした
。幸いスタッフにもお客様にも火傷や怪我はなかったのですが、タイミングが悪ければ一大事でした。
このように『サイフォン』は本当に些細なことで事故につながってしまうデリケートな器具なので、取り扱う際は教育してもらった通りに正しく使うようにしましょうね!
少々驚かせてしまったかもしれませんが、正しいやり方で取り扱えば危険なことは起きませんので、安心して下さいね!